心療内科医監修「外見の良い人にしか興味を持てない」原因と対策

「自分に自信がないから相手に完璧を求めてしまう」という会員さんが結構いるんですけど、心理学的にそういうことってあるんですか？

完璧を求めるかどうかはおいておいて、自分に自信がない人は、誰かに頼りたい、誰かに依存しやすいというのはあると思います。

これは外見のことだけじゃなくて、しっかりしているとか、経済力とか、意思決定ができるとか、そういうのも同じです。

自分の足りない部分を補おうとするというイメージですか？

そうです。自分にないものを補おうとするのって、人間の本質的なことなんですよね。

でも、いつも相手がいないと満たされない感じとか、相手がいないと自分が成り立たない状態になるというのは、少し危険です。

では、「今までお金に苦労してきたから年収の高い人が良い」というのはどうでしょう？

これって、自分の都合の良いように求めてしまっていて、相手のことを考えられていないんじゃないかなって思うのですが…。

年収が高い人からしたら、お相手が過去に苦労してきたかどうかは関係ないですし、年収が高いというだけで都合よく選ばれても嬉しくないですよね。

たしかに、コンプレックスを満たすように求めちゃうと、ちょっと難しいかなとは思います。

でも、お互いに合致したら良いですよね。

たとえば年収が高い人は、学歴やお金では得られない安らぎを求めていて、そこを満たしてあげられるとか。

自分の中で「こんな人がいい」というこだわりがないと、わかりやすい「容姿」を重視しちゃうのかなって思うのですが、どうでしょうか？

それはあると思いますよ。

よく「第一印象は見た目が9割」とも言いますよね。それだけ目からの情報って強くて、わかりやすい、ひっぱられやすいんです。

あと、相手の内面とかは目には見えないけど、容姿は見えますから、わかりやすい判断基準になっちゃうんですよね。

特にお見合いみたいな初対面の場だと、見た目で印象がかなり決まってしまったりしますからね。

イノセントではすごく重要なポイントとしてアドバイスしています。

あと、私たちは、見た目から性格を推測しちゃうという脳内システムを実はもっていて。

人間の特性的な？

そうです。実際に海外の研究でわかっていることなのですが、たとえば「髪が長い人は親切そう」とか、「筋骨隆々の人は熱血漢な性格」と思いやすい、ということが統計的に出ていて。

だからその見た目が好きというより、見た目に紐付いた性格を期待したり、そこが好みだったり、魅力を感じたり、っていうこともあるかもしれません。

なるほど。「この見た目の人はこういう性格だから好き」みたいな。

そうです。自分の中で紐付けてしまっているんですね。

あとは、たとえば、カッコいい人って小さい頃から周りの人にチヤホヤされてきたことで、自分に自信を持っていたり、恋愛経験もそれなりにあって女性を楽しませることができたり、という部分でカッコいい男性に良いイメージを持つ人もいます。

「カッコいい人 ＝ 一緒にいると楽しい」と、なんとなく思い込んでしまっているのかもしれないですね。

「カッコいい人は浮気しそうだから嫌」とか、「カッコいい人にはワルが多い」みたいなマイナスイメージもそうですけど、自分の経験から、自分の中に方程式を作ってしまうことがあります。

前回のコラムでやった「過度の一般化」に近いかもしれません。

ひとつの出来事を、一般的なものとして捉えちゃっているという話ですね。

そう、その過度な一般化をしてしまっていて、カッコいい人とは上手く行くと思いこんでいるケースもあるのかなと。

「カッコいい」こと自体を見ているのではなく、そこにつながるものを見ているというか。

「Love styles」という、恋愛観は6つに分けられるよという概念があって、その6つの中に「外見にこだわる恋愛観」というのがあるんです。

「物理的な愛」と呼ばれるんですけど、恋愛を自分の地位上昇の手段にするタイプです。

そういう人、いますね。

見た目の良さや、経済力の高さ、社会的な地位の高さで相手を選ぶという恋愛観なんです。

だから、外見を重視してしまうというのは、その人の恋愛観である可能性もあるということです。

ということは、「容姿で選びたい」というのもひとつの恋愛観だから、「容姿だけがすべてではないよ」というようなアドバイスは良くないのでしょうか。

価値観の押し付けというか。

そうだと思います。見た目の良さとか、経済力、社会的地位などを優先して交際相手や結婚相手を選ぶのも、その人の自由なのかなと思います。

ただ、今までのコラムでも言ってきたように、それで本当に満たされるの？それで本当に幸せなの？というのは自分自身に問うてほしいですね。

本当はそれでは満たされないのに、外見で選んでしまう人もいるということですか？

いますね。そういう人は、「外見が良い人の妻である私」みたいなところに価値を見出していたり、他人からどう見られるかというところばかりに視点がいってたりします。

容姿やスペックは周りから評価されやすいから、選んでしまうということですか？

そうです。めちゃくちゃわかりやすいじゃないですか。イケメンと付き合っている私、お金持ちと付き合っている私、って。

そういう周りからの目というか、人からの高評価で満たされる部分があるということです。

それも悪いことではないんですけど、行き詰まっちゃわないか心配です。

容姿ではなく、相手の内面に目を向けるにはどうすれば良いのでしょうか。

もちろん内田先生がおっしゃったように、本人がそれでよければいいんでしょうけど、中には外見だけで選んじゃダメってわかっているけど、でもやっぱり外見で選んでしまう、という人も多くて。

中身を見ないといけないことはわかっているけど、外見が好みじゃない時点でシャッターを降ろしてしまうというか。

うーん、私はそれでもいいんじゃないですか？って思っちゃう。外見がきっかけってことは全然あることだし。

一目惚れで恋に落ちた、とかもそうですよね。
入り口は外見からでも全然良いんじゃないですか？

で、そのあと連絡を取ったりデートを重ねていく中で、気が合うとか、尊敬できる点があるとかが出てくるかどうかですよね。

なるほど。入り口はそれでいいけどその後がどうかってことですね。

そうです。それで、魅力を感じる部分が出てきたなら、外見も好きだし内面も好きってことだから、最高じゃないですか。

反対にあとから出てきたことが気になってしまう場合は、一度冷静になったほうが良いとは思います。
考え方が合わないとか、態度が苦手で我慢ならないとか。

だから、「見た目が好き」以外に良いと思えるところを全部書きだしてみるというのはやってみていただきたいです。

中には嫌な部分が見えても、カッコいいから許しちゃうみたいな人もいますよね。

なぜそこまで外見にこだわるのか、というのは気になります。

9割嫌な部分があるのに、外見という1点にこだわるというのは…

何か理由があると。

あると思います。さっきも話した通り、カッコいい人と付き合うことで自分の評価が高まることに意義を見出すとか、

恋愛でカッコいい人との思い入れがあって、カッコいい人のほうが良い恋愛になると思い込んでいるとか、

何か過去の経験に引きづられているとか、いろいろあると思います。

でもやっぱり「カッコいい人と一緒にいる自分」に重きをおいてしまっているパターンが一番多いような気はします。

あまり良くないということですよね。

そうですね。すごく他人ありきの自分の幸せというか、感情よりも評価が先にきているんですよね。

感情がおいてけぼりだと、後々幸せと思えなかったり、喜びというものがあまりなかったり、という可能性はあるので、要注意です。

気持ち的につながっていないというか。

そういうことですね。愛情とか情熱とかがない状態。

でももしさっき言ったように、入り口が外見だったとしても、
一緒にいるうちに情が生まれたり、相手の内面で良いと思える面が見えてきているのであれば、情や信頼関係が育まれているということなので、それでも良いと思います。

でもそこがからっぽだと、ちょっと心配です。それであなたは本当に幸せですか？って思いますね。